偶然の産物とはこのことだ
14 10月 2011 in 恋話 俺の彼女は、何と警視庁N署の交通課に勤務する婦警さんだ。
出会ったのは今から10か月前の事だ。
俺は煙草を買うために駐禁ゾーンを承知でコンビニの前に車を止めて、まさに降りようとした時のことだった。
「練馬ナンバー、シルバーのレガシーの運転手さん、そこは駐車禁止ですよ。
すぐに動かしてください」と、がなりたてるスピーカーからの声がした。
うるさい女の声だった。
無視してそのまま降りようとしてドアを開けると、ミニパトがドアを開けられないようにくっ付いて止まった。
「なんでそんなにくっ付いて止まるの?ちょっとタバコを買うくらいも駄目なの?」と俺が食い下がると、「タバコを買うのなら、車を駐車場に入れてください。
駐車禁止ゾーンには絶対に駐車しないでくださいね」と、窓を開けて綺麗な顔に怖い表情を浮かべた婦警さんが言う。
その迫力に半分と綺麗な顔に半分負けた俺は、仕方なく「はい、はい、判りましたよ。
いま動かしますからどいてもらえませんかね」と言って、ドアを閉めた。
その晩俺はいつも行くスナックに飲みに、というかカラオケをやりに行くことにした。
途中、ラーメン屋で飯を食ってからスナックのドアを開けて、いつものカウンターの席に座り、ビールを一杯飲んでからボトルを出してもらって、水割りを飲み始めたときに、ドアが開く気配がしたと思ったらどこかで聞いた事のある女の声がした。
“どこで聞いたのかな”と思いだしているうちに空いている隣の席に、二人連れの女が座った。
思わず、そちらを向いて顔を見た俺はびっくりした。
顔を見られた女もびっくりしていた。
それもそのはず、昼間の綺麗で怖い表情の交通課の婦警さんだったのだ。
たぶん俺がバツの悪そうな顔をしていたせいなのか、彼女の方から「昼間はどうも、タバコは買えましたか?」と、にこやかにほほ笑みながら訊いて来た。
思わず俺もつられて微笑みながら「おかげさまで、別のコンビニで買えました」と言ってしまい、二人で顔を見合わせて笑いこけてしまった。
ママは「あら、お知り合いなの?」と訊くので「勿論、こんな綺麗な女性を俺が放っておくはずはないでしょう」と言うと、再び彼女と顔を見合わせて笑いこけた。
これが打ち解けるきっかけになったのだろうか、俺たちは旧知の仲のように話しを弾ませていた。
その後、交際に発展するのに、そんなに時間を必要とすることはなかった。
そして、今は二人で将来を考えるような間柄になっていると言う訳だ。
まさに偶然の産物と言うべき、出会いだったという訳だ。
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